フレンニコフのページ

ティホン・フレンニコフ(1913-2007)は旧ソ連・ロシアの作曲家です。 50年近くソビエトの音楽官僚のトップにいた作曲家で、 ショスタコーヴィチら才能あるソビエトの作曲家を弾圧した、ということで 現在では完全に悪者となっています。 ただ、一方で作曲家を粛正から護ったという一面も伝えられ、 どちらが彼の正しい像であるかはわかりません。筆者の意見では、両方とも 正しい像だったと言えるのではないでしょうか。

作風そのものは、よく「交響曲2番」のような奇怪で重厚な軍国主義的・社会主義リアリズム的な作風があげられますが、 実際には独特の美しさや、ユーモアも見られます。とくに彼の書いた一連の大衆歌曲に それはあらわれています。

確かに彼がソ連音楽界でやったことは消えることはないですが、それにしても 評価が低すぎるように思えるのは気のせいでしょうか。 もっとも、彼はピアニストとして活動していた方が、後世の評判は良かったでしょう。

フレンニコフの動画一覧

歌おう、友よ!

映画「列車は東へ進む」(1948)より。
歌っているのはなんとフレンニコフ本人!しかもテノールの美声! 監督が適役をみつけることができず、作曲者である彼を緊急に起用したらしく、 彼の映画出演は後にも先にもこれっきりである。この年、フレンニコフは ジダーノフ批判に乗っかりショスタコーヴィチたちを貶めている。

映像も相まって、これだけみるととても楽しい歌だが、映画そのものは不評だったようだ。


Judge not

4分ほどのドキュメンタリー。 フレンニコフの議長としての映像、とくにジダーノフ批判の読み上げの映像が見られる。 わずかながらピアノの演奏風景もみられる。やっぱりめちゃくちゃうまい…。

で、最後に出てくる、老いさらばえて、弁解する姿がどうしても どこぞのハリウッド映画に出てくるような悪役にしか見えません。嗚呼人生とは。


酔っぱらいの歌

歌・ニコライ・ギアウロフ フェドセーエフ指揮 モスクワ放送チャイコフスキーso. フレンニコフの大衆歌曲の最高傑作とおぼしき曲。 2000年代はじめの演奏。最後にフレンニコフが挨拶で少しでてくる。


ムスリム・マガマーエフのライブ
(その1)
真の友
モスクワの窓 & 何が私の心をかき乱すのか
(その4)

アゼルバイジャン生まれのソ連時代の名歌手、ムスリム・マガマーエフによる フレンニコフの歌曲。1973年の演奏。どれもこれもいい曲。 …だが「真の友」は「虹の彼方へ」のパクリみたいなアレンジで失笑してしまう。 モスクワの窓などはここではジャズアレンジされていてこれがとても素敵。 これらの映像を見ると、つくづくフレンニコフの本領は交響曲ではなく大衆歌曲だったことが 伺える。


映画「真の友」より抜粋

これも1950年代初頭の映画。映画そのものは不評だったようで、確かにあまり面白くなさそうだ。 おっさん三人組の話。 ただここでの音楽はフレンニコフの歌曲の代表作の一つとなっている。

嗚呼、スターリン時代末期のソビエトがとてもいい国に見えてしまうお……orz


映画「戦争のあとの午後六時」

1944年のプロパガンダ映画。まさか全編うpられてるとは…。もちろん音楽は全部フレンニコフです。 全部ロシア語。戦争ミュージカル映画…なのか。


映画「軽騎兵のバラード」

モスフィルム公式チャンネルから。ナポレオン戦争期の物語。 主題曲である「むかしむかし(ダブニン・ダブノー)」は 彼の代表的歌曲の一つ。全編ロシア語。


5つの小品

ピアノの名手だったわりには意外と数の少ない彼のピアノ曲の一つ。 演奏はフレンニコフの子孫らしい。作曲者のような切れ味はないが、なかなかうまい。2009年1月録音。


『立ち上がれ、厳しき戦いに』

『戦争の後の午後六時』(1942)より いかにも大戦期のソ連のプロパガンダ映画。もはや何も言うことはない。 ただそんなにいい曲じゃない気がしないでもない…。


『軽騎兵のバラード』(1962)より「子守歌」

軍服のおねえさんが歌っている。これがソビエト独特の鬱屈した雰囲気ってやつでしょうか。



「勝利の帰還」より「別れ」

1985年の映像。まさに昭和の歌謡曲。ソビエトの淡谷のり子?